第2章 複合過去と半過去の使い分け

複合過去の形 ― avoir・être・性数一致

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複合過去で出来事を、半過去で背景・習慣・状態を表し、過去の文章を場面ごとに読み分けます。

フランス語では、「今していること」と「すでにしたこと」で動詞の形が変わります。まず、同じ travailler(働く)を使った2つの文を比べてみましょう。

今の文と過去の文

  • Je travaille aujourd’hui. ジュ トラヴァイユ オージュルデュイ 私は今日働いています。
  • Hier, j’ai travaillé. イエール、ジェ トラヴァイエ 昨日、私は働きました。

どちらも travailler(働く)という動詞です。現在の文では travaille という1語ですが、過去の文では ai travaillé という2語になっています。ai は avoir の現在形、travaillé は過去分詞です。このように、avoir または être の現在形 + 過去分詞で作る過去の形を複合過去といいます。

avoirを使う形

  • J’ai travaillé hier. ジェ トラヴァイエ イエール 私は昨日働きました。
  • Nous avons fini le travail. ヌ ザヴォン フィニ ル トラヴァイユ 私たちは仕事を終えました。

êtreを使う形

  • Marie est arrivée ce matin. マリ エ タリヴェ ス マタン マリーは今朝到着しました。
  • Paul et Luc sont partis tôt. ポール エ リュック ソン パルティ ト ポールとリュックは早く出発しました。

複合過去では、多くの動詞が avoir を使い、一部の動詞と代名動詞では être を使います。être を使う基本形では、過去分詞を主語の性・数に合わせます。たとえば Marie est arrivée. では、女性単数の Marie に合わせて arrivé に e が付きます。

複合過去を作るときに見る3つのポイント

見ることavoirを使う形êtreを使う形
基本の形 avoir + 過去分詞 être + 過去分詞
例 J’ai travaillé. Marie est arrivée.
助動詞 ai など est など
過去分詞 travaillé arrivée
主語との一致 このChapterでは基本的に扱わない 主語の性・数に合わせる
主に使う動詞 多くの動詞 一部の動詞・代名動詞

フランス語で「〜した」「〜しました」のような、終わった出来事を表す代表的な形が複合過去です。複合過去は、avoir または être の現在形 + 過去分詞で作ります。作るときは、①avoir / être のどちらを使うか、②助動詞を主語に合わせる、③動詞を過去分詞にする、の順に考えます。

まず avoir か être を選ぶ

avoirを使う例êtreを使う代表例
travailler aller
manger venir
finir arriver
prendre partir
voir entrer
faire sortir
lire rester
boire tomber

助動詞を主語に合わせる

主語avoirêtre
je ai suis
tu as es
il / elle a est
nous avons sommes
vous avez êtes
ils / elles ont sont

規則的な過去分詞

不定詞過去分詞例
-er -é travailler → travaillé
-ir -i finir → fini
-re -u vendre → vendu

よく使う不規則な過去分詞

動詞過去分詞
avoir eu
être été
faire fait
prendre pris
mettre mis
voir vu
lire lu
boire bu
dire dit
écrire écrit

複合過去で être を使う場合は、助動詞だけでなく過去分詞の形にも注意します。また、代名動詞・否定文・疑問文では、複合過去を作る語の間や前後に別の語が入ります。ここでは、①être型の性数一致、②代名動詞、③否定文、④疑問文の順に確認します。

êtreを使うときは主語を見る

  • Il est arrivé. 彼は到着しました。
  • Elle est arrivée. 彼女は到着しました。
  • Ils sont arrivés. 彼らは到着しました。
  • Elles sont arrivées. 彼女たちは到着しました。

基本的な性数一致

主語形
男性単数 arrivé
女性単数 arrivée
男性複数 arrivés
女性複数 arrivées

文の中で確認する順番

①avoir / être の活用形を探す。②過去分詞を探す。③êtreなら主語の性・数を見る。④代名詞・ne ... pas・疑問文があっても、中心の「助動詞 + 過去分詞」を探す。

長い文でも同じ順番で見る

Marie n’est pas arrivée à l’heure. では est と arrivée を見つけ、être + 過去分詞なので複合過去、Marie が女性単数なので arrivée、ne ... pas があるので否定文だと確認します。Est-ce que Paul a pris le train ? では a と pris を見つけ、avoir + 過去分詞なので複合過去、Est-ce que があるので疑問文だと確認します。

複合過去の形 ― avoir・être・性数一致:確認問題

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第2章 複合過去と半過去の使い分け

半過去の形 ― 語幹・語尾・頻出形

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複合過去で出来事を、半過去で背景・習慣・状態を表し、過去の文章を場面ごとに読み分けます。

まず、現在形から半過去への変化を見る

  • Nous étudions le français. 私たちはフランス語を勉強しています。
  • Nous étudiions le français. 私たちはフランス語を勉強していました。

同じ étudier でも、現在形の nous étudions と半過去の nous étudiions では形が変わります。このChapterでは、なぜ半過去を選ぶかという意味判断より先に、半過去を正しく作り、文中で形を見抜くことを固めます。

半過去を作る3段階

  1. 現在形の nous形 を出す。
  2. 末尾の -ons を取って語幹を作る。
  3. 主語に合う半過去の語尾を付ける。
  • parler:nous parlons → parl- → je parlais
  • finir:nous finissons → finiss- → vous finissiez
  • venir:nous venons → ven- → ils venaient

être だけはこの作り方の例外で、語幹 ét- を使います。

6つの半過去語尾

主語語尾parler の例
je -ais je parlais
tu -ais tu parlais
il / elle / on -ait il parlait
nous -ions nous parlions
vous -iez vous parliez
ils / elles -aient ils parlaient

頻出形と、-ions / -iez の注意

  • avoir → av-:j’avais
  • faire → fais-:il faisait
  • aller → all-:nous allions
  • venir → ven-:ils venaient
  • être → ét-:elle était
  • étudier → nous étudiions / vous étudiiez(i が2つ)
  • manger → nous mangions / vous mangiez(e を残さない)
  • commencer → nous commencions / vous commenciez(ç ではなく c)

形を見抜くときの確認

半過去らしい語尾だけを見るのではなく、主語 → 語尾 → 語幹の順で確認します。語幹が現在形の nous形から作れるか、être なら ét- になっているかまで見ます。

nous形から語幹を作る

半過去の基本は、現在形の nous形を出発点にします。

不定詞現在形の nous形-ons を取った語幹半過去の例
parler nous parlons parl- je parlais
finir nous finissons finiss- vous finissiez
faire nous faisons fais- il faisait
aller nous allons all- nous allions
venir nous venons ven- ils venaient

不定詞から語幹を推測するのではありません。たとえば finir は fin- ではなく、nous finissons から finiss- を作ります。

実際に作る|finir

  • Vous finissiez toujours le travail à cinq heures. ヴ フィニシエ トゥジュール ル トラヴァイユ ア サンクール あなたたちはいつも5時に仕事を終えていました。

finir の vous形を作るなら、次の順です。

  1. 現在形の nous形は nous finissons。
  2. -ons を取ると finiss-。
  3. vous の語尾 -iez を付ける。
  4. vous finissiez になる。

同じ語幹に ils の -aient を付ければ ils finissaient です。

6語尾は主語とセットで覚える

主語語尾finir の例
je -ais je finissais
tu -ais tu finissais
il / elle / on -ait il finissait
nous -ions nous finissions
vous -iez vous finissiez
ils / elles -aient ils finissaient

-ais が je / tu の両方に使われること、-ait が3人称単数、-aient が3人称複数であることを主語と一緒に確認します。

avoir・faire・aller・venir の頻出形

動詞語幹jenousils / elles
avoir av- j’avais nous avions ils avaient
faire fais- je faisais nous faisions ils faisaient
aller all- j’allais nous allions ils allaient
venir ven- je venais nous venions ils venaient

形が不規則に見えても、語幹そのものは現在形の nous avons / faisons / allons / venons から -ons を取ると確認できます。

être は唯一の基本例外

  • Marie était encore au bureau. マリ エテ アンコール オ ビュロー マリーはまだ職場にいました。

être は nous sommes から語幹を作りません。半過去では ét- に6つの語尾を付けます。

主語être の半過去
je j’étais
tu tu étais
il / elle / on il était
nous nous étions
vous vous étiez
ils / elles ils étaient

Marie は elle と同じ3人称単数なので、ét- + -ait → était です。

よくある作り方の誤り

誤った考え方正しい考え方
× finir の語幹は不定詞から fin- ○ nous finissons → finiss-
× être も nous sommes から作る ○ être だけは ét-
× 語尾だけ覚えればよい ○ 主語・語幹・語尾をセットで確認する

基本形を作る確認順

  1. 主語を確認する。
  2. 現在形の nous形を出す。
  3. -ons を取る。être なら ét- を使う。
  4. 主語に合う語尾を付ける。
  5. 完成したつづりを確認する。

-ions / -iez では、語幹の最後を見る

nous / vous では語尾が -ions / -iez になるため、語幹の末尾によって完成形のつづりが目立ちます。

動詞nous現在形語幹nous の半過去vous の半過去
étudier nous étudions étudi- nous étudiions vous étudiiez
manger nous mangeons mange- nous mangions vous mangiez
commencer nous commençons commenç- nous commencions vous commenciez

étudier|i が2つ並ぶ

  • À ce moment-là, nous étudiions le français. ア ス モマン ラ、ヌ ゼテュディオン ル フランセ そのとき、私たちはフランス語を勉強していました。

nous étudions → étudi- とすると、語幹の最後に i があります。そこへ -ions を付けるので étudi + ions → étudiions。語幹の i も語尾の i も残します。

manger|-ions / -iez の前では e を残さない

  • Nous mangions ensemble. ヌ マンジオン ザンサンブル 私たちは一緒に食事をしていました。

現在形は nous mangeons ですが、-ions / -iez の i の前では g の音を保つための e は不要です。そのため mangions / mangiez となります。

比較すると、je では後ろが a なので je mangeais と e が残ります。

commencer|-ions / -iez の前では c

  • Nous commencions toujours à neuf heures. ヌ コマンシオン トゥジュール ア ヌヴール 私たちはいつも9時に始めていました。

nous commençons の ç は、a / o / u の前で c の音を保つためのつづりです。-ions / -iez は i で始まるため、commencions / commenciez と c を使います。

比較すると、je では je commençais と ç が残ります。

つづりの誤りを見分ける

  • étudier:nous étudions → nous étudiions
  • manger:× nous mangeions → ○ nous mangions
  • commencer:× nous commençions → ○ nous commencions

「nous形をそのまま残して語尾を付ける」のではなく、完成形で必要なつづりを確認します。

文中で半過去の形を見抜く

  • Chaque samedi, Paul venait avec nous. シャク サムディ、ポール ヴネ アヴェック ヌ 毎週土曜日、ポールは私たちと一緒に来ていました。

venait を見るときは、

  1. 主語 Paul は il と同じ3人称単数。
  2. 語尾は -ait。
  3. 語幹 ven- は nous venons から作れる。

という順で確認できます。

  • Aujourd’hui, Paul lit au bureau. Hier à la même heure, il lisait près de la fenêtre. オージュルデュイ、ポール リ オ ビュロー。イエール ア ラ メームール、イル リゼ プレ ドゥ ラ フネートル 今日はポールは職場で読書をしています。昨日の同じ時刻には、窓の近くで読んでいました。

lire は表にありませんが、nous lisons → lis- と作れば、il + -ait → lisait と同じ手順を使えます。

半過去の形 ― 語幹・語尾・頻出形:確認問題

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第2章 複合過去と半過去の使い分け

複合過去 ― 出来事・完了・時系列

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複合過去で出来事を、半過去で背景・習慣・状態を表し、過去の文章を場面ごとに読み分けます。

「何が起きたか」を前へ進める

  • Hier matin, Paul est sorti de chez lui. Il a pris le bus et il est arrivé au bureau à neuf heures. イエール マタン、ポール エ ソルティ ドゥ シェ リュイ。イラ プリ ル ビュス エ イレ タリヴェ オ ビュロー ア ヌヴール 昨日の朝、ポールは家を出ました。バスに乗り、9時に職場へ着きました。

est sorti → a pris → est arrivé と、出来事が順番に起きています。複合過去は、過去の出来事を終わった一まとまりとして示し、「次に何が起きたか」を前へ進めるときに中心になる時制です。

代表的な4つの見方

文脈上の見方French何を見るか
一回の出来事 J’ai rencontré Léa. 一件の出来事として起きた
完了 J’ai fini le rapport. 終点・成立が中心
回数・期間を区切る J’ai appelé trois fois. 回数・期間を終わったまとまりとして見る
時系列 Il est sorti, a pris le bus, est arrivé. 出来事が順に進む

時間表現は「答え」ではなく手掛かり

hier、tout à coup、trois fois、pendant vingt minutes などは判断を助けます。ただし、hier があれば必ず複合過去、短い動作なら必ず複合過去という規則ではありません。

このChapterでは複合過去側の役割を単独で固めます。半過去との本格的な比較はInternal Chapter 5で行います。

一回起きた出来事

  • Hier, j’ai rencontré Léa à la gare. イエール、ジェ ランコントレ レア ア ラ ガール 昨日、私は駅でレアに会いました。

rencontrer は、この文では「昨日一回起きたこと」として提示されています。出来事の途中を描写するのではなく、一件の出来事としてまとめて示すので j’ai rencontré です。

完了した行為

  • J’ai fini le rapport à six heures. ジェ フィニ ル ラポール ア スィズール 私は6時にレポートを終えました。

finir には終点があります。この文で伝えたいのは「6時の時点で終えた」という成立・完了です。そのため j’ai fini と、終わった出来事として示します。

回数が決まっている

  • J’ai appelé Paul trois fois hier. ジェ アプレ ポール トロワ フォワ イエール 昨日、私はポールに3回電話しました。

trois fois によって、電話した回数が3回に区切られています。繰り返しがあっても、回数を数え終わった出来事のまとまりとして見ると複合過去になります。

一定の期間を完了したまとまりとして見る

  • Nous avons attendu pendant vingt minutes. ヌ ザヴォン ザタンデュ パンダン ヴァン ミニュット 私たちは20分間待ちました。

「20分」は短さを示すから複合過去なのではありません。待った20分全体を、終わった一まとまりとして振り返っているため avons attendu です。

長い期間でも複合過去になる

  • J’ai habité à Lyon pendant dix ans. ジェ アビテ ア リヨン パンダン ディザン 私はリヨンに10年間住みました。

10年間は長い期間ですが、話し手はその10年間を「すでに終わった居住期間」として一まとまりにしています。

判断を実演する

「長いから半過去」とは決めません。

  1. habiter が何年間続いたかを見る。
  2. pendant dix ans で期間全体が区切られている。
  3. 話し手は、その期間を現在から振り返って完了した経歴として述べている。
  4. そこで j’ai habité とする。

このChapterで使う主な過去分詞

不定詞過去分詞
terminer terminé
rencontrer rencontré
sonner sonné
appeler appelé
attendre attendu
prendre pris
ouvrir ouvert
sortir sorti
arriver arrivé

複合過去そのものの作り方はInternal Chapter 1で扱いました。ここでは、これらの形を文中の役割と結び付けることが中心です。

出来事が続くと、物語の時間が前へ進む

  • À huit heures, Paul est sorti. Il a pris le bus. Il est arrivé au bureau à neuf heures. ア ユイットゥール、ポール エ ソルティ。イラ プリ ル ビュス。イレ タリヴェ オ ビュロー ア ヌヴール 8時にポールは外出しました。バスに乗りました。9時に職場へ着きました。
順番複合過去出来事
1 est sorti 家を出た
2 a pris バスに乗った
3 est arrivé 職場に到着した

どの動詞も場面の状態説明ではなく、「その次に起きたこと」を示しています。複合過去が連続すると、出来事の列として時間を前へ進めることができます。

順序表現と一緒に読む

  • D’abord, Marie a fermé la fenêtre. Ensuite, elle a éteint la lumière. Enfin, elle est sortie. ダボール、マリ ア フェルメ ラ フネートル。アンスュイット、エラ エタン ラ リュミエール。アンファン、エレ ソルティ まずマリーは窓を閉めました。次に明かりを消しました。最後に外へ出ました。

d’abord(まず)、ensuite(次に)、enfin(最後に)は出来事の順番を読み取る助けになります。ただし、これらの語自体が複合過去を作るわけではありません。

突然入る出来事

  • Tout à coup, le téléphone a sonné. トゥ タ クー、ル テレフォン ア ソネ 突然、電話が鳴りました。

tout à coup は、新しい出来事が入る合図になりやすい表現です。ここでは「電話が鳴った」という一回の出来事が起き、a sonné が時間を前へ進めます。

文中での読み方

  • Paul est entré, a posé son sac et a ouvert son ordinateur. ポール エ タントレ、ア ポゼ ソン サック エ ア ウヴェール ソン ノルディナトゥール ポールは入ってきて、かばんを置き、パソコンを開きました。
  1. est entré:最初の出来事。
  2. a posé:次の出来事。
  3. a ouvert:さらに次の出来事。
  4. 3つを一件ずつ追うと、出来事の順番が読める。

よくある誤解を防ぐ

機械的な考え方このChapterでの考え方
× hier があれば必ず複合過去 ○ hier は過去の枠。動詞の役割も見る
× 短い動作なら複合過去 ○ 長さではなく、終わった一まとまりかを見る
× 長い期間なら半過去 ○ 10年間でも完了した経歴として見れば複合過去になる
× 順序語があれば自動的に複合過去 ○ 順序語と、実際に起きた出来事の役割を合わせて読む

複合過去 ― 出来事・完了・時系列:確認問題

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第2章 複合過去と半過去の使い分け

半過去 ― 状態・背景・習慣・継続

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複合過去で出来事を、半過去で背景・習慣・状態を表し、過去の文章を場面ごとに読み分けます。

「そのとき、どうだったか」を描く

  • À huit heures, il pleuvait et la rue était calme. ア ユイットゥール、イル プルヴェ エ ラ リュ エテ カルム 8時には雨が降っていて、通りは静かでした。

この文は「何が新しく起きたか」を報告するのではなく、ある過去の時点の天候と状態を描いています。半過去は、このように過去の舞台・状態・繰り返し・その時点で続いていた動作を表すときに中心になります。

代表的な4つの役割

役割French見るポイント
状態・背景 Marie était fatiguée. その時点の状態を描く
天候・時刻・年齢 Il faisait froid. / Paul avait dix ans. 場面の条件を示す
習慣・繰り返し Nous allions au marché chaque dimanche. 過去に何度も繰り返していた
進行中 À neuf heures, je travaillais encore. 基準時点で動作が途中だった

日本語の「〜していた」だけで決めない

半過去は「〜していた」と訳されることが多いですが、était(〜だった)、avait dix ans(10歳だった)のような状態にも使われます。日本語の語尾ではなく、過去の場面をどう描いているかを見ます。

このChapterでは半過去側の役割を単独で固めます。複合過去との本格的な使い分けはInternal Chapter 5で扱います。

状態・背景を描く

  • Marie était fatiguée et elle voulait rentrer. マリ エテ ファティゲ エ エル ヴレ ラントレ マリーは疲れていて、帰りたがっていました。

était と voulait は、何かが一回起きた出来事ではなく、その場面でのMarieの状態や気持ちを描いています。

天候

  • Il faisait froid et il pleuvait. イル フゼ フロワ エ イル プルヴェ 寒く、雨が降っていました。

天候は物語や会話の舞台を作る情報としてよく現れます。この文では、「寒くなった」「雨が降り始めた」という出来事ではなく、そのときの天候がどうだったかを描いています。

時刻

  • Il était huit heures. イレテ ユイットゥール 8時でした。

時刻も、ある場面の基準となる状態として半過去で示されます。

年齢

  • Paul avait dix ans à cette époque. ポール アヴェ ディザン ア セット エポック そのころ、ポールは10歳でした。

「10歳になる」という一回の出来事ではなく、その時期のPaulの年齢という状態です。

判断を実演する|年齢

  1. à cette époque で過去の時期を確認する。
  2. avoir dix ans は、その時期の年齢という状態を示している。
  3. 一回起きて終わる出来事として数えていない。
  4. avoir を半過去にして avait とする。

状態を示す代表的な形

不定詞半過去の例代表的な文脈
être était 状態・時刻
avoir avait 年齢・所有・状態
faire faisait 天候
vouloir voulait 気持ち・意向

過去の習慣・繰り返し

  • Dans mon enfance, je jouais au tennis tous les samedis. ダン モン ナンファンス、ジュ ジュエ オ テニス トゥ レ サムディ 子どものころ、私は毎週土曜日にテニスをしていました。

「ある土曜日に一回した」のではなく、子どものころに何度も繰り返していた習慣です。tous les samedis が繰り返しを読み取る助けになります。

  • Chaque été, nous allions à la mer. シャク エテ、ヌ ザリオン ア ラ メール 毎年夏、私たちは海へ行っていました。

chaque été のように、過去の一定期間に繰り返していた行為も半過去で表します。

基準時点で続いていた動作

  • À neuf heures, je travaillais encore. ア ヌヴール、ジュ トラヴァイエ アンコール 9時には、私はまだ仕事をしていました。

9時は動作の開始時刻でも終了時刻でもありません。9時という基準点で見ると、仕事は途中です。そのため travaillais とします。

  • À ce moment-là, les enfants dormaient. ア ス モマン ラ、レ ザンファン ドルメ そのとき、子どもたちは眠っていました。

この文も、眠り始めた出来事ではなく、その時点で続いていた状況を描いています。

判断を実演する|進行中

  • À huit heures, Marie préparait encore le dîner. ア ユイットゥール、マリ プレパレ アンコール ル ディネ 8時には、マリーはまだ夕食を準備していました。
  1. à huit heures で基準時点を置く。
  2. encore から、その時点でも動作が続いていると分かる。
  3. 開始や終了を報告する文ではない。
  4. préparer を半過去 préparait にする。

時間表現は補助として使う

手掛かり読み取りやすい役割注意
à cette époque 状態・習慣 これだけで時制を固定しない
tous les samedis 習慣・繰り返し 一回の土曜日ではなく反復を見る
chaque été 習慣・繰り返し 過去の一定期間の反復を見る
à neuf heures / à ce moment-là 基準時点での状態・進行 始点・終点なのか基準点なのかを確認する
encore 継続中 「まだ続いていた」ことを読みやすい

よくある誤解を防ぐ

機械的な考え方このChapterでの考え方
× 半過去は全部「〜していた」 ○ 状態なら「〜だった」、年齢なら「〜歳だった」にもなる
× 長く続く動作なら必ず半過去 ○ 長さより、基準時点で途中なのか、完了したまとまりなのかを見る
× tous / chaque があるだけでよい ○ 過去の習慣・反復として実際に述べているか確認する
× 時刻があれば出来事 ○ 時刻は進行中の状態を見る基準点にもなる

半過去 ― 状態・背景・習慣・継続:確認問題

問題 1 / 8
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第2章 複合過去と半過去の使い分け

複合過去と半過去 ― 出来事と背景の使い分け

5 / 7

複合過去で出来事を、半過去で背景・習慣・状態を表し、過去の文章を場面ごとに読み分けます。

同じ過去でも、動詞の役割が違う

  • La rue était calme. Un taxi est arrivé. ラ リュ エテ カルム。アン タクシ エ タリヴェ 通りは静かでした。タクシーが到着しました。

était はその場面の状態・背景を描き、est arrivé はそこで新しく起きた出来事を示します。過去の文だから全部同じ時制にするのではなく、動詞ごとの役割を見ます。

中心となる対比

見ること複合過去半過去
中心の役割 起きた出来事・完了 状態・背景・習慣・進行中
時間の見え方 終わった一まとまり その時点の内側・途中
文章での働き 時間を前へ進める 舞台や状況を描く
代表例 Un taxi est arrivé. La rue était calme.

時間表現だけでは決めない

  • Hier, il pleuvait. イエール、イル プルヴェ 昨日、雨が降っていました。
  • Hier, j’ai terminé le dossier. イエール、ジェ テルミネ ル ドシエ 昨日、私は書類を仕上げました。

どちらにも hier があります。違いは hier ではなく、pleuvoir が背景を描いているか、terminer が完了した出来事を示しているかです。

判断の順番

  1. 動詞が「何が起きたか」を報告しているか、「そのときどうだったか」を描いているかを見る。
  2. 終わった一まとまりか、その時点で途中だったかを見る。
  3. 習慣・状態かどうかを見る。
  4. 最後に時間表現を手掛かりとして確認する。

状態の中に出来事が入る

  • La rue était calme. Un taxi est arrivé. ラ リュ エテ カルム。アン タクシ エ タリヴェ 通りは静かでした。タクシーが到着しました。
  • était:通りの状態。場面を描く半過去。
  • est arrivé:その場面で新しく起きた到着。複合過去。

同じ過去の場面でも、役割が違えば時制も違います。

進行中の背景に出来事が入る

  • Je lisais dans ma chambre. Le téléphone a sonné. ジュ リゼ ダン マ シャンブル。ル テレフォン ア ソネ 私は部屋で本を読んでいました。電話が鳴りました。

lisais は電話が鳴る前から続いていた動作です。a sonné はその途中で新しく起きた一件の出来事です。

判断を実演する

  1. lire:電話が鳴った時点で読書は途中だった → lisais。
  2. sonner:電話が一回鳴った → a sonné。
  3. 二つの動詞を別々に判断してから、一つの場面としてつなぐ。

継続中と完了を比べる

  • À dix heures, je travaillais encore. J’ai terminé le rapport à midi. ア デズール、ジュ トラヴァイエ アンコール。ジェ テルミネ ル ラポール ア ミディ 10時にはまだ仕事をしていました。正午にレポートを終えました。
動詞何を示すか時制
travaillais 10時時点では途中 半過去
ai terminé 正午に完了 複合過去

同じ「仕事」に関する流れでも、途中を見れば半過去、終点を見れば複合過去になります。

長い・短いでは決めない

  • J’ai habité à Nice pendant dix ans. ジェ アビテ ア ニース パンダン ディザン 私はニースに10年間住みました。

10年間という長い期間でも、すでに終わった居住期間として一まとまりにすれば複合過去です。

  • À ce moment-là, Marie regardait la porte. ア ス モマン ラ、マリ ルガルデ ラ ポルト そのとき、マリーはドアを見ていました。

一方、短い時間の動作でも、ある基準時点で進行中の背景として描けば半過去になります。

同じ時間表現でも時制は変わる

hier

  • Hier, il pleuvait. イエール、イル プルヴェ 昨日、雨が降っていました。
  • Hier, j’ai terminé le dossier. イエール、ジェ テルミネ ル ドシエ 昨日、私は書類を仕上げました。

hier はどちらにも使えます。前者は昨日の天候という背景、後者は昨日完了した出来事です。

pendant

  • Pendant le cours, Paul écrivait. パンダン ル クール、ポール エクリヴェ 授業中、ポールは書いていました。
  • Paul a travaillé pendant deux heures. ポール ア トラヴァイエ パンダン ドゥ ズール ポールは2時間働きました。

前者の pendant le cours は「授業という時間の中で進行中だった」場面を作ります。後者の pendant deux heures は「2時間働いた」という完了した期間全体をまとめています。

習慣は半過去で捉える

  • Tous les étés, elle restait chez sa tante. トゥ レ ゼテ、エル レステ シェ サ タント 毎年夏、彼女はおばの家に滞在していました。

毎年繰り返していた習慣なので restait です。tous les étés は手掛かりですが、最終的には「繰り返していた習慣」という役割を確認します。

典型的な誤りを、反例で直す

誤った機械ルール反例修正した考え方
× hier → 複合過去 Hier, il pleuvait. hier は過去の枠。背景なら半過去も使う
× pendant → 半過去 Il a travaillé pendant deux heures. 期間全体を完了したまとまりにすれば複合過去
× 長い行為 → 半過去 J’ai habité à Nice pendant dix ans. 長さではなく完了/進行の見方で決める
× 1文の動詞は同じ時制 Je lisais quand le téléphone a sonné. 動詞ごとに背景/出来事を判断する

判断を実演する|同じ場面に2時制

  • Hier à midi, nous préparions encore le rapport. Nous l’avons terminé à deux heures. イエール ア ミディ、ヌ プレパリオン ザンコール ル ラポール。ヌ ラヴォン テルミネ ア ドゥ ズール 昨日の正午には、私たちはまだレポートを準備していました。2時にそれを終えました。
  1. hier は過去の枠を示すだけなので、まだ時制を決めない。
  2. midi の時点では préparer が encore「まだ」続いている → préparions。
  3. deux heures では terminer が成立して終点を示す → avons terminé。
  4. 同じ日の同じ作業でも、見る位置が変わると時制が変わる。

複合過去と半過去 ― 出来事と背景の使い分け:確認問題

問題 1 / 8
正解 0 / 8

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第2章 複合過去と半過去の使い分け

quand・pendant que ― 時制を組み合わせる

6 / 7

複合過去で出来事を、半過去で背景・習慣・状態を表し、過去の文章を場面ごとに読み分けます。

接続詞ではなく、各節の役割を見る

  • Quand Paul est arrivé, Marie dormait. カン ポール エ タリヴェ、マリ ドルメ ポールが到着したとき、マリーは眠っていました。

est arrivé は一回の出来事、dormait はその時点で続いていた背景です。quand は二つの時間を結びますが、quand の後だから複合過去になるわけではありません。

quand では複数の組み合わせがある

  • Quand Marie est arrivée, nous avons commencé à dîner. カン マリ エ タリヴェ、ヌ ザヴォン コマンセ ア ディネ マリーが到着したとき、私たちは夕食を始めました。
  • Quand nous étions enfants, nous jouions souvent ici. カン ヌ ゼティオン ザンファン、ヌ ジュイオン スヴァン イスィ 私たちが子どもだったころ、よくここで遊んでいました。

quand は「〜したとき」「〜だったころ」など広い時間関係を結ぶため、複合過去+半過去、複合過去+複合過去、半過去+半過去のどれもありえます。

pendant que は「〜している間」という重なりを示す

  • Pendant que je faisais mes devoirs, ma sœur regardait la télévision. パンダン ク ジュ フゼ メ ドゥヴォワール、マ スール ルガルデ ラ テレヴィジオン 私が宿題をしている間、姉(妹)はテレビを見ていました。
  • Pendant que nous dînions, le téléphone a sonné. パンダン ク ヌ ディニオン、ル テレフォン ア ソネ 私たちが夕食をとっている間に、電話が鳴りました。

pendant que は時間の重なりを強く示しますが、文全体を同じ時制にそろえる規則ではありません。

2つを同じ軸で比べる

接続表現中心となる時間関係代表的な組み合わせ判断のポイント
quand 「〜したとき」「〜だったころ」など 複合過去+半過去 / 複合過去+複合過去 / 半過去+半過去 各節の出来事・背景・状態・習慣を別々に見る
pendant que 「〜している間」という重なり 半過去+半過去 / 半過去+複合過去 「続いている時間」と、その間に何が起きるかを見る

接続詞は時間関係を示し、時制は各動詞の役割を示します。

quand を見たら、二つの動詞を分けて考える

quand は二つの節を時間関係で結びます。最初に接続詞だけで時制を決めず、節Aの動詞 → 節Bの動詞の順に役割を確認します。

出来事+背景

  • Quand Paul est arrivé, Marie dormait. カン ポール エ タリヴェ、マリ ドルメ ポールが到着したとき、マリーは眠っていました。
  1. arriver:Paulの到着は一回起きた出来事 → est arrivé。
  2. dormir:到着した時点でMarieはすでに眠っていた → dormait。
  3. quand が二つの時間を結んでいることを確認する。

出来事+出来事

  • Quand Marie est arrivée, nous avons commencé à dîner. カン マリ エ タリヴェ、ヌ ザヴォン コマンセ ア ディネ マリーが到着したとき、私たちは夕食を始めました。

est arrivée も avons commencé も、その場面で起きた出来事です。quand があっても、両方が複合過去になることがあります。

状態+習慣

  • Quand nous étions enfants, nous jouions souvent ici. カン ヌ ゼティオン ザンファン、ヌ ジュイオン スヴァン イスィ 私たちが子どもだったころ、よくここで遊んでいました。

étions は過去の状態、jouions は過去の習慣です。どちらも半過去になります。

quand の判断手順

  1. quand をいったん時制の判断から外す。
  2. 一つ目の動詞が出来事か、状態・背景・習慣かを見る。
  3. 二つ目の動詞も同じように独立して見る。
  4. それぞれの時制を決める。
  5. 最後に quand が二つの時間をどう結んでいるか確認する。

よくある誤解

誤った考え方正しい考え方
× quand の後は複合過去 ○ Quand nous étions enfants... のように半過去もある
× quand 文では時制を1種類にそろえる ○ 出来事+背景なら複合過去+半過去になる
× quand 自体が時制を決める ○ quand は時間関係を結び、時制は各節の役割で決める

pendant que は時間の「重なり」を見る

pendant que は「〜している間」という時間関係を明示します。3級では、①二つの動作が同時に続いていた形、②続いていた背景へ一回の出来事が入る形、を中心に扱います。

継続+継続

  • Pendant que je faisais mes devoirs, ma sœur regardait la télévision. パンダン ク ジュ フゼ メ ドゥヴォワール、マ スール ルガルデ ラ テレヴィジオン 私が宿題をしている間、姉(妹)はテレビを見ていました。

faisais と regardait は同じ時間帯に並行して続いています。この代表パターンでは両方が半過去です。

継続+出来事

  • Pendant que nous dînions, le téléphone a sonné. パンダン ク ヌ ディニオン、ル テレフォン ア ソネ 私たちが夕食をとっている間に、電話が鳴りました。

dînions は続いていた背景、a sonné はその途中に一回起きた出来事です。

判断を実演する

  1. pendant que で「夕食中」という時間の枠をつかむ。
  2. dîner は、その時間の中で続いていた → dînions。
  3. sonner は、その途中で一回起きた → a sonné。
  4. pendant que があっても、二つの動詞を同じ時制にしない。

quand と pendant que の使い分け

文接続表現の働き時制判断
Quand Paul est arrivé, Marie dormait. 到着した時点と睡眠中を結ぶ arriver=出来事 / dormir=背景
Quand nous étions enfants, nous jouions ici. 子どもだった時期を示す être=状態 / jouer=習慣
Pendant que je lisais, Paul écrivait. 二つの継続時間を重ねる 両方とも進行中
Pendant que Paul dormait, Marie est arrivée. 継続時間の中に出来事を置く dormir=背景 / arriver=出来事

接続詞を選ぶとき

  • 「〜したとき」「〜だったころ」のように、広く時間の接点・時期を示す → quand。
  • 「〜している間」のように、ある動作が続く時間帯との重なりを明示する → pendant que。

ただし、実際の時制は接続詞ではなく各動詞の役割から決めます。

誤解防止

quand・pendant que ― 時制を組み合わせる:確認問題

問題 1 / 8
正解 0 / 8

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第2章 複合過去と半過去の使い分け

物語文・読解 ― 時間表現と時制判断

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複合過去で出来事を、半過去で背景・習慣・状態を表し、過去の文章を場面ごとに読み分けます。

文章では「背景」と「出来事」の切り替わりを追う

  • Hier soir, il pleuvait. Je marchais dans la rue quand un chien a traversé la route. J’ai regardé le chien. Il était calme. イエール ソワール、イル プルヴェ。ジュ マルシェ ダン ラ リュ カン アン シヤン ア トラヴェルセ ラ ルート。ジェ ルガルデ ル シヤン。イレテ カルム 昨夜、雨が降っていました。私が通りを歩いていたとき、犬が道路を横切りました。私はその犬を見ました。犬は落ち着いていました。

この短い文章では、

  • pleuvait / marchais:場面と進行中の背景
  • a traversé / ai regardé:次に起きた出来事
  • était:最後の状態

と、文章の途中で役割が切り替わっています。物語文では、動詞を一語ずつ孤立して見るのではなく、背景 → 出来事 → 出来事 → 状態という流れを追います。

読解の4段階

  1. 時間表現から、文章の時間の枠をつかむ。
  2. 半過去で場面・状態・進行中の背景を見つける。
  3. 複合過去が入る位置で、新しい出来事を見つける。
  4. 複合過去が続くなら、出来事の順番を追う。

時間表現だけで時制を固定しない

hier、à ce moment-là、tout à coup、pendant、quand は重要な手掛かりです。ただし、hier=複合過去、pendant=半過去のような固定ルールにはしません。時間表現と、動詞が文章で担う役割を一緒に読みます。

場面設定から出来事の列へ

  • Hier matin, il faisait beau. Nous avons quitté l’hôtel à neuf heures. Nous avons visité le musée, puis nous avons déjeuné près de la rivière. イエール マタン、イル フゼ ボー。ヌ ザヴォン キテ ロテル ア ヌヴール。ヌ ザヴォン ヴィジテ ル ミュゼ、ピュイ ヌ ザヴォン デジュネ プレ ドゥ ラ リヴィエール 昨日の朝はよい天気でした。私たちは9時にホテルを出ました。博物館を見学し、その後、川の近くで昼食をとりました。

動詞ごとに役割を並べる

動詞時制文中の役割
faisait 半過去 朝の天候という場面設定
avons quitté 複合過去 最初に起きた出来事
avons visité 複合過去 次に起きた出来事
avons déjeuné 複合過去 さらに続く出来事

faisait beau で舞台が置かれ、その後の avons quitté → avons visité → avons déjeuné が文章の時間を前へ進めます。

読み方を実演する

  1. Hier matin で過去の時間枠をつかむ。
  2. faisait beau は朝の天候を描写している → 背景。
  3. avons quitté で最初の出来事が起きる。
  4. avons visité、avons déjeuné と出来事を順番に追う。
  5. 時制の切り替わりを、文章構造の切り替わりとして読む。

基準時点の背景から突然の出来事へ

  • À ce moment-là, Paul travaillait encore. Tout à coup, le téléphone a sonné. ア ス モマン ラ、ポール トラヴァイエ アンコール。トゥ タ クー、ル テレフォン ア ソネ そのとき、ポールはまだ仕事をしていました。突然、電話が鳴りました。

à ce moment-là は基準時点、travaillait encore はその時点で続いていた背景です。tout à coup で新しい出来事が入り、a sonné が時間を前へ進めます。

時制が変わる理由

文章の中で半過去から複合過去へ変わるのは、単に文が変わったからではありません。「そのときどうだったか」を描く部分から、「次に何が起きたか」を進める部分へ役割が変わるためです。

時間表現と文脈を組み合わせる

hier

  • Hier, il pleuvait. イエール、イル プルヴェ 昨日、雨が降っていました。
  • Hier, nous avons terminé le projet. イエール、ヌ ザヴォン テルミネ ル プロジェ 昨日、私たちはプロジェクトを終えました。

同じ hier でも、前者は背景、後者は完了した出来事です。

pendant

  • Pendant le cours, Marie prenait des notes. パンダン ル クール、マリ プルネ デ ノット 授業中、マリーはメモを取っていました。
  • Marie a travaillé pendant deux heures. マリ ア トラヴァイエ パンダン ドゥ ズール マリーは2時間働きました。

前者は授業という時間の中で進行中だった動作、後者は2時間全体を完了したまとまりとして示しています。

背景から出来事の連鎖を追う

  • Il faisait froid. Nous attendions le bus. À huit heures dix, le bus est arrivé. Nous avons pris le bus et il est parti. イル フゼ フロワ。ヌ ザタンディオン ル ビュス。ア ユイットゥール ディス、ル ビュス エ タリヴェ。ヌ ザヴォン プリ ル ビュス エ イレ パルティ 寒かったです。私たちはバスを待っていました。8時10分にバスが到着しました。私たちはそのバスに乗り、バスは出発しました。
文章の位置動詞読み方
場面 faisait 天候の背景
場面 attendions バスを待っている進行中の背景
転換 est arrivé 新しい出来事が入る
展開 avons pris 次の出来事
展開 est parti さらに次の出来事

読解の判断手順

  1. 最初の時間表現で文章の大きな時間枠を取る。
  2. 各動詞について、背景・状態・習慣・進行中か、出来事・完了かを見る。
  3. tout à coup / ensuite / puis / quand などがあれば、出来事の入り口や順番を確認する。
  4. 時制が変わったところで、文章の役割がどう変わったか説明できるようにする。

第2章で起こりやすい誤りを総整理

誤った読み方修正
× hier が出たら全部複合過去 ○ hier は時間枠。背景なら半過去も使う
× 長い動作は半過去、短い動作は複合過去 ○ 長さではなく、完了したまとまりか進行中かを見る
× 文章中の動詞を全部同じ時制にする ○ 動詞ごとに役割を判断する
× quand / pendant が時制を決める ○ 接続表現は時間関係、時制は各動詞の役割で決める
× 活用形だけ見れば読解できる ○ 時間表現・役割・出来事の順番まで追う

文章全体へ判断を移す

  • Hier soir, Marie était chez elle. Elle préparait le dîner quand Paul a téléphoné. Ils ont parlé pendant dix minutes, puis Marie a continué à cuisiner. イエール ソワール、マリ エテ シェ エル。エル プレパレ ル ディネ カン ポール ア テレフォネ。イル ゾン パルレ パンダン ディ ミニュット、ピュイ マリ ア コンティニュエ ア キュイジネ 昨夜、マリーは家にいました。夕食を準備していたとき、ポールが電話しました。2人は10分間話し、その後マリーは料理を続けました。
  • était / préparait:場面と進行中の背景。
  • a téléphoné:背景の中へ入る出来事。
  • ont parlé:10分間を終わった会話としてまとめる出来事。
  • a continué:その後に続く次の出来事。

一文だけで判断した規則を、複数文の文章にも同じように適用します。

物語文・読解 ― 時間表現と時制判断:確認問題

問題 1 / 8
正解 0 / 8

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